今年の夏も青山ブックセンター本店では「100人がこの夏おすすめする一冊」を開催をしました。店頭のフェアは終了しましたが、店頭へどうしても来れなかった方、もう一度コメントを読みたい方などのご要望にお答えしまして、Webサイトでも選書とコメントをご紹介いたします。
様々なジャンルの方々が、多種多様な本を選んでいただきました
”本と出合う楽しさ”をぜひ感じていただければと思います。

青木淳

建築家

『輝ける闇』

ある年の夏、『輝ける闇』一冊を読めれば、それでいい。鯨の内臓のなか、とずっと感じてきたその感覚と、その「匂い」と呼応する

青木淳 選

『輝ける闇』

開高健 / 著

新潮社 / 590円(税抜)

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ある年の夏、『輝ける闇』一冊を読めれば、それでいい。鯨の内臓のなか、とずっと感じてきたその感覚と、その「匂い」と呼応するベトナムの戦争。それを小説という形にしえた凄まじさ。

建築家。1956年横浜市生まれ。東京大学工学部建築学修士修了。磯崎新アトリエ勤務を経て、1991年に独立、青木淳建築計画事務所を設立。代表作に、「馬見原橋」(くまもと景観賞)、「S」(吉岡賞)、「潟博物館」(日本建築学会賞作品賞)、「ルイ・ヴィトン表参道」(BCS賞)、「青森県立美術館」、「大宮前体育館」、「三次市民ホールきりり」など。公共建築、商業建築から個人住宅まで、広範な建築ジャンルでの設計のほか、美術家としてのインスタレーションなど、ジャンルをまたいでの活動を行なっている。2004年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

阿部広太郎

コピーライター

『世界のすべてのさよなら』

僕は以前、「傷ついて傷ついてわたしになっていく」というコピーを書いた。いつまでも無傷ではいられない、むしろその人「らしさ

阿部広太郎 選

『世界のすべてのさよなら』

白岩玄 / 著

幻冬舎 / 1,300円(税抜)

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僕は以前、「傷ついて傷ついてわたしになっていく」というコピーを書いた。いつまでも無傷ではいられない、むしろその人「らしさ」というのは、傷みを乗り越えた先に生まれるものだと思うのだ。コピーで伝えきれなかった僕の気持ちが、この本に書かれていた。大切な関係ほど、その字の如く、大いに切ない。いま人間関係に思うことがある人へ、心にしみる言葉がたくさんあります。

1986年生まれ。2008年、電通入社。人事を経て、コピーライターに。
現在は、コンテンツビジネス・デザイン・センターに所属。
「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、
言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、繋ぎ、仕事をつくる。
東京コピーライターズクラブ会員。
宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師。
世の中に企画する人を増やすべく、2015年より、
BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を立ち上げる。
初の著書『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』(弘文堂)を出版。
https://twitter.com/kotaroa

網中いづる

イラストレーター

『知らなかった、ぼくらの戦争 アメリカ生まれのぼくが今、戦争の声を聞く理由』

戦争を様々なところで体験した人たちのインタビュー集で、当時の話は辛く重いが明るくまとめられていると思った。ビナードさんの

網中いづる 選

『知らなかった、ぼくらの戦争 アメリカ生まれのぼくが今、戦争の声を聞く理由』

アーサー・ビナード / 著

小学館 / 1,500円(税抜)

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戦争を様々なところで体験した人たちのインタビュー集で、当時の話は辛く重いが明るくまとめられていると思った。ビナードさんの視点に、何度もはっとさせられる。「戦後」がいつまでも続いてほしい。夏休みに子どもと読もうと思い、選んだ本。

イラストレーター。2017年より雑誌「婦人之友」表紙、絵本『ふくはなにからできてるの?』、書籍装画『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズほか。

新井卓

写真家

『記憶/物語 思考のフロンティア 』

沈黙にはいろいろの姿がある──傷つき疲れ切った人に寄りそうあたたかい沈黙。何かを考え尽くした果てにゆきつくもどかしい沈黙

新井卓 選

『記憶/物語 思考のフロンティア 』

岡真理 / 著

岩波書店 / 1,600円(税抜)

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沈黙にはいろいろの姿がある──傷つき疲れ切った人に寄りそうあたたかい沈黙。何かを考え尽くした果てにゆきつくもどかしい沈黙──しかしこの時代の沈黙とは、きょう明日を生きる不安に怯え、恐れるあまり出来事を見まいとするものたちの沈黙ではないだろうか。
岡真理のやさしい言葉は、なかば諦めかけたわたしたちの足を止める。決して共有しえないわたしたちと他者の記憶に、ふたたび耳を澄ませ、語り始める勇気を与えてくれる。

1978年川崎市生まれ。写真の原点を探るうち黎明期の技法・ダゲレオタイプ(銀板写真)を知り、試行錯誤ののち同技法を習得。アメリカ水爆実験の被害にあった第五福竜丸の船体や元船員と出会った2010年ごろから、核災害に翻弄される人々や核の遺物を“小さなモニュメント”として記録しつづけてきた。ボストン美術館、東京国立近代美術館、森美術館など国内外の展覧会に参加。英国ソースコード・プライズ受賞。

石黒亜矢子

絵本作家

『おれは歌だおれはここを歩く アメリカ・インディアンの詩』

私のバイブルのような絵本です。 この絵本に出会って本気で絵本作家になりたいと思ったのを覚えております。

石黒亜矢子 選

『おれは歌だおれはここを歩く アメリカ・インディアンの詩』

秋野亥左牟 / 著

福音館書店 / 1,600円(税抜)

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私のバイブルのような絵本です。 この絵本に出会って本気で絵本作家になりたいと思ったのを覚えております。

1973年、千葉県生まれ。イラストレーターとして本の装丁画、挿絵などで活躍。著書に『平成物の怪図録』、装画に『豆腐小僧双六道中ふりだし』『豆腐小僧双六道中おやすみ本朝妖怪盛衰録』(いずれも著・京極夏彦)など、絵本に『おおきなねことちいさなねこ』、がある。

石川直樹

写真家

『ウォークス 歩くことの精神史』

旅は歩くことからはじまる。歩くことで思考が動き始める。ぼくは今までずっと、歩きながら考えてきた。この本は、その「歩

石川直樹 選

『ウォークス 歩くことの精神史』

レベッカ・ソルニット 東辻賢治郎 / 著

左右社 / 4,500円(税抜)

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旅は歩くことからはじまる。
歩くことで思考が動き始める。
ぼくは今までずっと、歩きながら考えてきた。
この本は、その「歩くこと」の根源へと辿りつかんとする大切な本だ。

1977年東京生まれ。高校2年生のときにインド・ネパールへ一人旅に出て以来、2000年に北極から南極まで人力で踏破するPole to Poleプロジェクトに参加。翌2001年には、七大陸最高峰登頂に成功。その後も世界を絶えず歩き続けながら作品を発表している。その関心の対象は、人類学、民俗学など、幅広い領域に及ぶ。

石川善樹

イノベーションディレクター

『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』

意外かも知れませんが、日本経済を見る目が間違いなく変わる一冊。「そもそも経済の発展とは何か?」という問いに対し著者は、「

石川善樹 選

『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』

セザー・ヒダルゴ / 著

早川書房 / 2,500円(税抜)

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意外かも知れませんが、日本経済を見る目が間違いなく変わる一冊。「そもそも経済の発展とは何か?」という問いに対し著者は、「情報の多様化・高度化」だと主張します。その観点から見ると、実は日本がもっとも経済複雑性が高いのだという指摘も。超おススメです!

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科(現健康総合科学科)卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士号(医学)取得。専門は予防医学、行動科学、機械創造学など。講演や雑誌、テレビへの出演も多数。

市橋 織江

写真家

『大好き!ヒゲ父さん いたずらっ子に乾杯!』

戦前のドイツで生まれた言葉のないコマ漫画。とことん悪戯っ子の少年と、ツルツル頭でコロンとしたおとうさん。その世界感のユー

市橋 織江 選

『大好き!ヒゲ父さん いたずらっ子に乾杯!』

E.O.プラウエン / 著

青萠堂 / 1,200円(税抜)

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戦前のドイツで生まれた言葉のないコマ漫画。とことん悪戯っ子の少年と、ツルツル頭でコロンとしたおとうさん。その世界感のユーモアとセンスが好きで、何度も何度も読みました。決して甘くないお話なのにいつもどこか暖かい、そんなところにすごく惹かれて、大人になった今も大好きな作品です。

1978年生まれ。二年半のスタジオ勤務後、カメラマンアシスタントを経て、
2001年独立。数々の広告や、アーティストの写真を手掛ける。

いとうせいこう

作家

『漱石辞典』

今年たくさん出た漱石本(『漱石漫談』奥泉光×私含む)の中でも、漱石作品に出てくる言葉を選んで逐一解説を付けるとんでもない

いとうせいこう 選

『漱石辞典』

小森 陽一/飯田 祐子/五味渕 典嗣/佐藤 泉/佐藤 裕子/野網 摩利子【編】 / 著

翰林書房 / 7,800円(税抜)

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今年たくさん出た漱石本(『漱石漫談』奥泉光×私含む)の中でも、漱石作品に出てくる言葉を選んで逐一解説を付けるとんでもない労作がこちら。ちらちら読み続け、考え続けるのに最適。

1961年、東京都生まれ。
編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。
著書に『ノーライフキング』『見仏記』(みうらじゅんと共著)『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)『想像ラジオ』(第35回野間文芸新人賞受賞)『存在しない小説』『鼻に挟み撃ち 他三編』『我々の恋愛』など。
テレビでは「ビットワールド」(Eテレ)「オトナの!」(TBS)「せいこうの歴史再考」(BS12)などにレギュラー出演中。「したまちコメディ映画祭in台東」では総合プロデューサーを務め、浅草、上野を拠点に今年で9回目を迎える。
近年の音楽活動ではロロロへの加入や、レキシでの活動、DUBFORCEへの加入などがある。

犬山紙子

エッセイスト

『まじめに生きるって損ですか?』

たくさんの悩みに対して、寄り添い、理解しようとし、真剣に、懸命に考えてくださる。 読み終えた時、心に味方が一人住み着いて

犬山紙子 選

『まじめに生きるって損ですか?』

雨宮まみ / 著

ポット出版 / 1,500円(税抜)

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たくさんの悩みに対して、寄り添い、理解しようとし、真剣に、懸命に考えてくださる。
読み終えた時、心に味方が一人住み着いてくれたような感じがします。

1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。ニート時代に出会った“美人なのに恋愛下手な友人たち”を描いたブログを書籍化した『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。

植本一子

写真家

『夫・車谷長吉』

書いているものから伝わって来る本人像もあるが、側で見ていた人の記録から立ち上る別の姿もある。本当の自分は自分にしかわから

植本一子 選

『夫・車谷長吉』

高橋 順子 / 著

文藝春秋 / 1,600円(税抜)

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書いているものから伝わって来る本人像もあるが、側で見ていた人の記録から立ち上る別の姿もある。本当の自分は自分にしかわからないと思いつつも、他の人の目に映る自分もまた本当の自分なのだ。車谷長吉の人生相談が好きだった。

一九八四年広島県生まれ。二〇〇三年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞、写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活躍中。著書に『かなわない』(タバブックス)、『働けECD――わたしの育児混沌記』(ミュージック・マガジン)がある。

宇多丸

ライムスター

『20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を創った雑誌たち』

コレクターというほどではないですが、70年代後半〜80年代前半を中心に古雑誌を買い集めるのがささやかな趣味である僕にとっ

宇多丸 選

『20世紀エディトリアル・オデッセイ 時代を創った雑誌たち』

赤田祐一 ばるぼら / 著

誠文堂新光社 / 2,500円(税抜)

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コレクターというほどではないですが、70年代後半〜80年代前半を中心に古雑誌を買い集めるのがささやかな趣味である僕にとって、まさに至福の一冊。実際に手に取ってページをめくれば、このワクワク感、すぐに共有していただけるはず。『スペクテイター』2017年39号「パンクマガジン『Jam』の神話」特集も併せてどうぞ!

ラッパー、ラジオパーソナリティ。1969年東京都生まれ。
ラップグループ「ライムスター」のラッパー。1989年、大学在学中にMummy-Dと出会いグループ結成。ライブ活動を中心に、日本語ラップ初期よりシーンを牽引してきた。
また当時からヒップホップシーン界隈で知られたトークスキルは、ラジオパーソナリティとして開花。2007年4月にTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』がスタートすると、趣向を凝らした特集や、愛ゆえ本音で語りつくす映画批評コーナーが話題に。2009年には第46回ギャラクシー賞「DJパーソナリティ賞」を受賞。ラジオ、テレビ、雑誌、ウェブなど各種メディアで活躍中。

梅佳代

写真家

『林家ペー、パー子の爆笑芸能写真館』

夏休みは芸能人を見つけて一緒に写真撮れたらいいね。

梅佳代 選

『林家ペー、パー子の爆笑芸能写真館』

林家 ペー/林家 パー子 / 著

シンコーミュージック・エンタテイメント / 1,400円(税抜)

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夏休みは芸能人を見つけて一緒に写真撮れたらいいね。

1981年石川県生まれ。〈男子〉、〈女子中学生〉で、キヤノン写真新世紀連続受賞。2006年に初写真集『うめめ』を刊行、翌年第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。以降主な著書に、『男子』『じいちゃんさま』『ウメップ』、『のと』、共著『うめ版 新明解国語辞典×梅佳代』など。近作に『白い犬』。2013年には東京オペラシティアートギャラリーにて個展「梅佳代展 UMEKAYO」を開催。日常に潜む様々な光景を独自の観察眼で捉えた作品が高く評価され、国内外の媒体や展覧会で作品を発表している。

越前敏弥

翻訳家

『ストーナー』

仮に東江一紀さんの遺作ではなかったとしても、まちがいなく2014年のベストワンに選んだと思う。地味な男の地味な人生を記し

越前敏弥 選

『ストーナー』

ジョン・ウィリアムズ / 著

作品社 / 2,600円(税抜)

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仮に東江一紀さんの遺作ではなかったとしても、まちがいなく2014年のベストワンに選んだと思う。地味な男の地味な人生を記しているだけなのに、圧倒的な「生」の力と、圧倒的なことばの力を感じる。おのれの来し方行く末と主人公の人生が力強く交わって切り結ぶ、未体験の感覚。この先自分が何年生きるかわからないけれど、人生の節目で何度も読み返したい。

文芸翻訳者。訳書『世界文学大図鑑』『おやすみ、リリー』『生か、死か』『解錠師』『ダ・ヴィンチ・コード』『Yの悲劇』『シートン動物記』など。著書『翻訳百景』『日本人なら必ず誤訳する英文』など。読書探偵作文コンクール選考委員。全国の翻訳ミステリー読書会とラーメン店をまわるのがライフワーク。

円城塔

作家

『六百番歌合 新日本古典文学大系 38』

百個のお題に対して十二人が計一二〇〇首の歌を詠み、ふた組に分かれて異能力バトルを繰り広げます。本当です。

円城塔 選

『六百番歌合 新日本古典文学大系 38』

佐竹昭広 久保田淳 / 著

岩波書店 / 4,600円(税抜)

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百個のお題に対して十二人が計一二〇〇首の歌を詠み、ふた組に分かれて異能力バトルを繰り広げます。本当です。

1972年北海道生まれ。東京大学博士課程修了。 2007年、『オブ・ザ・ベースボール』、『Self-Reference ENGINE』でデビュー。 2012年、『道化師の蝶』で芥川龍之介賞受賞。2014年、『Self-Reference ENGINE』で Philip K. Dick Award, special citation 受賞。 現在大阪に作家の妻と在住。

遠藤拓人

イラストレーター

『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

1日の終わり、日常の音がやんだ頃、よく旅の本を読む。アイラ島の草原に立ち、羊の群れを眺めながら、”藻の匂いをたっぷり含ん

遠藤拓人 選

『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

村上春樹 / 著

新潮社 / 520円(税抜)

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1日の終わり、日常の音がやんだ頃、よく旅の本を読む。アイラ島の草原に立ち、羊の群れを眺めながら、”藻の匂いをたっぷり含んだ潮風”を吸う。とくとくと注いだウイスキー。夏の夜の旅。

イラストレーター
東京都生まれ。セツ・モードセミナー修了、東京工芸大学大学院修了。第4回ギャラリーハウスMAYA『装画コンペ』MAYA賞、第25回グラフィックアート『ひとつぼ展』入選、他。書籍装画やカバーフォト、装丁、雑誌・新聞の挿絵など主に文芸を中心に活動。『ヒポクラテスの誓い』(中山七里/祥伝社)、『もののふ莫迦』(中路啓太/中央公論新社)、『秘密のル・ノルマンオラクル』(鏡リュウジ/夜間飛行)など。

大澤聡

批評家

『服従の心理』

とにかくここ数年、ことの大小問わず、この実験を思い出す情景に出会ってばかりでちょっとうんざりしている。そのうんざりさ加減

大澤聡 選

『服従の心理』

スタンリ・ミルグラム 山形浩生 / 著

河出書房新社 / 1,300円(税抜)

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とにかくここ数年、ことの大小問わず、この実験を思い出す情景に出会ってばかりでちょっとうんざりしている。そのうんざりさ加減を共有してもらえたらと思い、この夏におすすめしておく。すこし前に、映画『アイヒマンの後継者』に推薦コメントを寄せるということであわせて読みかえしたのだけれど、あらためて山形浩生の訳と解説がよかった。

1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員を経て、近畿大学文芸学部講師。専門はメディア史。各種媒体にジャーナリズムや文芸に関する批評・論文を発表。

大島依提亜

アートディレクター・グラフィックデザイナー

『カメリ』

二足歩行型の模造亀カメリ、ヒトデの形をしたヒトのようでヒトでないヒトデナシ、変ないきものたちが暮らす、ヒトが何処かへ行っ

大島依提亜 選

『カメリ』

北野勇作 / 著

河出書房新社 / 820円(税抜)

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二足歩行型の模造亀カメリ、ヒトデの形をしたヒトのようでヒトでないヒトデナシ、変ないきものたちが暮らす、ヒトが何処かへ行ってしまった後の世界。多くを語らない事で豊かさが増す北野勇作独特の描写による、もしかすると過酷で寂しく少し不気味な世界の、愉快で優しくとても可愛い物語。

映画のグラフィックを中心に、展覧会広報物、ブックデザインなどを手ける。最近の主な仕事に、映画『たかが世界の終わり』、『パターソン』、書籍「団地のはなし」、「今日の人生」(益田ミリ)など。

大橋裕之

漫画家

『ですよね- いくしゅん写真集』

ほとんどの人間が気づかずに通り過ぎてしまう奇跡の瞬間を捉えた写真集です。何度も観たくなります。

大橋裕之 選

『ですよね- いくしゅん写真集』

いくしゅん / 著

青幻舎 / 1,800円(税抜)

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ほとんどの人間が気づかずに通り過ぎてしまう奇跡の瞬間を捉えた写真集です。何度も観たくなります。

漫画家。昭和55年生まれ。愛知県蒲郡市出身。2005年から『謎漫画作品集』、『音楽』、『週刊オオハシ』全10巻(2006年~)などの自費出版漫画で本格的な活動を開始。現在、『TV Bros.』(東京ニュース通信社)、『EYESCREAM』(音楽と人)、『CDジャーナル』(音楽出版社)、『フットボール批評』(カンゼン)、WEBマガジン『トーチweb』などで連載中。

大原大次郎

デザイナー

『たのしい写真 よい子のための写真教室』

写真を通して表現や専門性の前にある「ものの見方」を分解しながら、僕らは世界をどう捉えているのか一緒に考えてみようと問いか

大原大次郎 選

『たのしい写真 よい子のための写真教室』

ホンマタカシ / 著

平凡社 / 1,600円(税抜)

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写真を通して表現や専門性の前にある「ものの見方」を分解しながら、僕らは世界をどう捉えているのか一緒に考えてみようと問いかけてくる。
ものごとの「そもそも」に立ち返って、自分が関わる分野を紐解いていくような姿勢が、『たのしい写真』には詰まっています。

1978年神奈川県生まれ。2003年武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。同年omomma設立。タイポグラフィを基軸としたデザインワークや映像制作に従事するほか、展覧会、ワークショップ、出版、パフォーマンスなどを通して、言葉や文字の新たな知覚を探るプロジェクトを多数展開する。2014年JAGDA新人賞、東京TDC賞受賞。

岡本欣也

コピーライター

『学生との対話』

坂口安吾、椎名誠、北野武、クリント・イーストウッド。 私の場合、小説にしろ映画にしろ、腕っぷしの強い作家に 惹かれてしま

岡本欣也 選

『学生との対話』

小林秀雄 / 著

新潮社 / 490円(税抜)

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坂口安吾、椎名誠、北野武、クリント・イーストウッド。
私の場合、小説にしろ映画にしろ、腕っぷしの強い作家に
惹かれてしまう。作品そのものよりもそこから透けて見え
てくる作者の男らしさについ焦がれてしまう。小林秀雄。
肉体的にはわからないけど、心の腕っぷしでは誰にも負け
なかった人。そんなイメージを持っていたからやはり憧れ
の人ではあったが、この本の小林秀雄はちょっと違った。
晩年の講演を起こした原稿だからというのもあるが、この
中からは驚くほど穏やかな肉声が聞こえてくる。まろやか
でコクのある、人間小林秀雄に会いたい方はぜひ。

1969年、東京都生まれ。コピーライター。岩崎俊一事務所を経て、2010年オカキン設立。キリン、ホンダ、日本たばこ産業、イオン、NTTドコモなど数々の広告を手がける。日本郵政やミツカンなど、岩崎俊一氏との共作も多数。東京コピーライターズクラブTCC賞。ACC、ADC、朝日、読売、日経新聞広告賞など受賞多数。宣伝会議コピーライター養成講座講師。

沖 潤子

刺繍アーティスト

『子どもと子どもの本のために』

子どものころをほんとに思い出すということは、つまり、何が本物で、何がにせ物であるか、
何が善く、何が悪いかを、とっさに長

沖 潤子 選

『子どもと子どもの本のために』

エーリヒ・ケストナー/ 著 高橋健二/ 訳 / 著

岩波書店 / 1,000円(税抜)

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子どものころをほんとに思い出すということは、つまり、何が本物で、何がにせ物であるか、
何が善く、何が悪いかを、とっさに長く考えずに、知ることです。
大抵の人は子どものころを、雨がさのように忘れ、過去のどこかに置きっぱなしにします。
だが、その後の四十年五十年の勉強も経験も、最初の十年間の精神の純度を埋め合わすことができません。
子どものころは私たちの灯台です。
エーリヒ・ケストナー

1963年埼玉県浦和市生まれ、神奈川県鎌倉市在住。
2002年より母親が残した布に自己流の刺繍を始め、以後国内外で展覧会を行う。細いミシン糸を用い、下絵を描かずに刺していく。自己の内面世界を表現し尽くそうともがいているかのような高密度の針目は、刺繍という概念を超え圧倒的な力を放つ。2014年に自身の撮影による作品集『PUNK』(文藝春秋)を刊行、その独自の世界が大きな話題となっている。

小倉ヒラク

発酵デザイナー

『謎床 思考が発酵する編集術』

「謎が生成される場」を巡る、IT界の俊英ドミニク・チェンさんと編集界のレジェンド松岡正剛さんの対話集。 古代アジア文明から

小倉ヒラク 選

『謎床 思考が発酵する編集術』

松岡正剛 ドミニク・チェン / 著

晶文社 / 1,800円(税抜)

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「謎が生成される場」を巡る、IT界の俊英ドミニク・チェンさんと編集界のレジェンド松岡正剛さんの対話集。
古代アジア文明から最先端のITテクノロジー、日本文化のヒミツからSNSの未来まで、様々な引用を交えながら多種多彩なトピックスを語っていくめちゃくちゃ情報量の濃い一冊です。そしてその多様なトピックスを束ねるキーワードは"発酵"。「え?どういうこと?」と気になった人は即ゲットだ!

1983年東京都生まれ。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指す発酵デザイナー。東京農業大学の醸造学科研究生として醸造学を学び、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本、アニメの制作やワークショップを行なっている。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で、発酵学の講師もつとめている。発酵文化を伝えるなかま“コージーズ”とつくった絵本『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。

小澤實

俳人

『俳句という他界』

現代の俳句、ことに震災後の現在の俳句について考える際、必須の 一冊。現代思想の文章の引用も多く、やさしくはないが、ハード

小澤實 選

『俳句という他界』

関悦史 / 著

邑書林(地方・小出版流通センタ- ) / 1,800円(税抜)

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現代の俳句、ことに震災後の現在の俳句について考える際、必須の
一冊。現代思想の文章の引用も多く、やさしくはないが、ハードな
噛み応えそのものを楽しみたい。そして、著者とともに「俳句とは
何か」について考えたい。「かたつむりつるめば肉の食ひ入るや 
永田耕衣」「麦秋の厠ひらけばみなおみな 安井浩司」など魅力的
な句も満載している。

 昭和31年、長野県生まれ。平成12年「澤」創刊、主宰。「讀賣新聞」「東京新聞」俳壇選者。句集『立像』で第21回俳人協会新人賞、句集『瞬間』で第57回讀賣文学賞詩歌俳句賞、評論集『俳句のはじまる場所』で第22回俳人協会評論賞。近著に池澤夏樹個人編集『日本文学全集『近現代詩歌』(河出書房新社)、人類学者中沢新一との対談集『俳句の海に潜る』(KADOKAWA)がある。

落合陽一

メディアアーティスト

『Steps to an Ecology of Mind』

人間社会から計算機自然へ.「精神と自然」を著する前のベイトソンがサイバネティクスを人類学に適応しようとした論考.僕が,普

落合陽一 選

『Steps to an Ecology of Mind』

グレゴリ-・ベイトソン / 著

人間社会から計算機自然へ.「精神と自然」を著する前のベイトソンがサイバネティクスを人類学に適応しようとした論考.僕が,普段研究で,波動、物質、深層学習の統合を考えるときに頻繁に振り返る哲学的立脚点.デカルト的パラダイムから人間→計算機、社会→自然へ.今読むと,こう言った文化としての技術,テクニウム的生態感が実装されつつあることに気がつく.今を生きるために読むべき本の一つ.

筑波大学助教・デジタルネイチャー研究室主宰
1987年東京都生まれ。筑波大学でメディア芸術を学び、情報学群情報メディア創成学類を卒業。大学院ではヒューマンインターフェース工学およびコンピュータグラフィクスを専攻し、東京大学学際情報学府にて博士号を取得(学際情報学府初の早期修了者)。
Sekai No OwariやDom Perignon、Lexus、ONE OK ROCK、カナヘイ、Sword Art Onlineなど、作家やアーティスト、ブランドとのコラボレーション作品の制作や演出も手掛ける。

温又柔

作家

『刻』

「…この私、という一個の身体に歴史を与え、今の、この今の只中に、全存在を刻みつける」。ナラ(韓国語)、と、くに(日本語)

温又柔 選

『刻』

李良枝 / 著

講談社 / 1,400円(税抜)

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「…この私、という一個の身体に歴史を与え、今の、この今の只中に、全存在を刻みつける」。ナラ(韓国語)、と、くに(日本語)、という二つの「母国」の狭間にある「私」の自意識をたどるうちに、こちらの日本語も刻々と揺さぶられていく……この快感を、ぜひ味わってみてください!

小説家。1980年台湾・台北生まれ、3歳より東京在住。限りなくニッポン人に近いタイワン人。
著書に『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)、『来福の家』(白水Uブックス)、『たった一つの私のものではない名前 kindle版』(葉っぱの坑夫)など。

青山ブックセンター本店

青山ブックセンターでは、本との出会いを提供する書店として、さまざまなイベントや講座を行っています。 今回のフェアの選者の方も以前にイベントやフェアなどにご参加頂いた方々です。 今後の開催情報はイベント・講座ページでご覧いただけます。是非ご参加ください。