今年の夏も青山ブックセンター本店では「100人がこの夏おすすめする一冊」を開催をしました。店頭のフェアは終了しましたが、店頭へどうしても来れなかった方、もう一度コメントを読みたい方などのご要望にお答えしまして、Webサイトでも選書とコメントをご紹介いたします。
様々なジャンルの方々が、多種多様な本を選んでいただきました
”本と出合う楽しさ”をぜひ感じていただければと思います。

ヒグチユウコ

画家

『夢みごこち』

夢見ごごち…その題名の通り読み手をフジモトさんのつくる夢とも現実ともつかない世界につれていってくれます。ハッとするひとこ

ヒグチユウコ 選

『夢みごこち』

フジモト マサル / 著

平凡社 / 1,400円(税抜)

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夢見ごごち…その題名の通り読み手をフジモトさんのつくる夢とも現実ともつかない世界につれていってくれます。ハッとするひとこと、胸をつく言葉のない間、儚くそして素晴らしい1冊。フジモトさんがいらしたらわたしの夢は有罪でしょうか?と言ってみたかった。

画家。多摩美術大学 油画科卒業(福沢一郎賞)。 1999年より東京を中心に定期的に個展開催しつつ、ファッションブランドや画材メーカー等、様々な企業とのコラボを展開している。二作目の絵本『せかいいちのねこ』(白泉社)、作品集『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社)、自身初の絵本『ふたりのねこ』(祥伝社)、塗り絵本『Museum』(グラフィック社)などを出版。オリジナルブランド『Gustave(ギュスターヴ)』も展開中。

日野原健司

太田記念美術館主席学芸員

『渡辺省亭 花鳥画の孤高なる輝き』

明治時代の日本美術には、“消された”画家たちがたくさん眠っています。渡辺省亭(せいてい)は、今だからこそ注目したい画家の

日野原健司 選

『渡辺省亭 花鳥画の孤高なる輝き』

岡部昌幸 / 著

東京美術 / 2,000円(税抜)

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明治時代の日本美術には、“消された”画家たちがたくさん眠っています。渡辺省亭(せいてい)は、今だからこそ注目したい画家のひとり。リアルさと愛くるしさを兼ねそなえた鳥たちの瞳は、伊藤若冲にも負けていません!マイナーな省亭を果敢にも取り上げたこの一冊。ぜひ省亭を“発見”してください。

ラフォーレ原宿のすぐ裏にある、浮世絵専門の太田記念美術館の学芸員。『かわいい浮世絵』『月岡芳年 妖怪百物語』など、浮世絵にまつわる書籍を多数出版。太田記念美術館まで、ABC本店から千代田線・表参道駅を乗り、最寄りの明治神宮前駅までたった一駅。ただいま月岡芳年展を開催中。ぜひお立ち寄りを!

福嶋亮大

文芸評論家

『グッドモーニング、ゴジラ 監督本多猪四郎と撮影所の時代』

2016年の日本映画は『シン・ゴジラ』『君の名は。』『怒り』等を送り出した東宝の一人勝ちでした。本書はその東宝の原点に遡

福嶋亮大 選

『グッドモーニング、ゴジラ 監督本多猪四郎と撮影所の時代』

樋口 尚文 / 著

国書刊行会 / 2,300円(税抜)

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2016年の日本映画は『シン・ゴジラ』『君の名は。』『怒り』等を送り出した東宝の一人勝ちでした。本書はその東宝の原点に遡り、突出した作家性を撮影所システムに回収しようとしたプロデューサー森岩雄と、「作家」と「職人」のあいだで引き裂かれた監督たちの姿を丹念に描き出しています。今こそ読み直されるべき異色の好著です。

1981年京都府生まれ。文芸評論家。 京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。 現在は立教大学文学部文芸思想専修准教授。 著書に『復興文化論――日本的創造の系譜』(青土社、サントリー学芸賞受賞)『厄介な遺産――日本近代文学と演劇的想像力』(青土社、やまなし文学賞受賞)『神話が考える――ネットワーク社会の文化論』(青土社)がある。

藤崎圭一郎

デザイン評論家

『変化朝顔図鑑 』

『AXIS』8月号でこの本の著者の仁田坂英二先生を取材しました。朝顔は日本で育った園芸植物です。えっこれもアサガオなの?

藤崎圭一郎 選

『変化朝顔図鑑 』

仁田坂 英二 / 著

化学同人 / 1,400円(税抜)

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『AXIS』8月号でこの本の著者の仁田坂英二先生を取材しました。朝顔は日本で育った園芸植物です。えっこれもアサガオなの?という変化朝顔の数々を見て、これはガンダムやゴティックメードなどの人型戦闘兵器の進化に似ていると直感しました。優れた文化は劣性遺伝子的なるものを丁寧に選び育てること。それをこの本から学びました。

1963年横浜生まれ。デザイン評論家、編集者。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。元『デザインの現場』編集長。主な著書に広告会社ドラフトの仕事を取材した『デザインするな』(DNPアートコミュニケーションズ)。2015年台湾のブックデザイン事情を取材した『T5──台湾書籍設計最前線』(東京藝術大学出版会)を企画・編集。

保坂和志

作家

『 伴侶 』

ベケットの小説に嵌まるか嵌まらないかは、読書経験や文学の知識とまったく関係ないみたいだ。嵌まる人はいきなり嵌まる。人間の

保坂和志 選

『 伴侶 』

サミュエル・ベケット 宇野邦一 / 著

書肆山田 / 2,000円(税抜)

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ベケットの小説に嵌まるか嵌まらないかは、読書経験や文学の知識とまったく関係ないみたいだ。嵌まる人はいきなり嵌まる。人間の能動性を信じてないかどうか、ということだと思う。AIが人を支配する時代に、人間に残るのが無力さ無能さだけだとしたら、それはベケットのことだ。

1956年山梨県生まれ。鎌倉で育つ。早稲田大学政治経済学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年「この人の閾(いき)」で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞。その他の小説に、『猫に時間の流れる』『残響』『カンバセイション・ピース』『朝露通信』『地鳴き、小鳥みたいな』など。小説論・エッセイに『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』『考える練習』『遠い触覚』など。絵本に『チャーちゃん』(画 小沢さかえ)がある。

保坂健二朗

東京国立近代美術館主任研究員

『『三里塚の夏』を観る』

「土地と政治」が昨今のホットイシューだが、かつてあの成田空港の土地をめぐって、農民、市民、学生、女性が、権力に対して直接

保坂健二朗 選

『『三里塚の夏』を観る』

鈴木一誌 / 著

太田出版 / 3,333円(税抜)

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「土地と政治」が昨今のホットイシューだが、かつてあの成田空港の土地をめぐって、農民、市民、学生、女性が、権力に対して直接的な闘いを挑んだ夏があった。この本は、彼らの叫びと苦悩を捉えたドキュメンタリー映画の傑作のDVDと、聞き取りにくい音声の文字起こしからなる。映像による記録を考える上でも重要な一冊。

1976年生まれ。東京国立近代美術館主任研究員。『すばる』『疾駆』『SPUR』でアートについての連載を持っています。現在勤務先では担当した展覧会「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」が開催中(10月29日まで)。同展のカタログは、保坂と塚本由晴さん(アトリエ・ワン/東京工業大学大学院教授)の共同監修により『新建築住宅特集2017年8月号別冊』として絶賛発売中です。

星野智幸

作家

『差別されてる自覚はあるか 横田弘と青い芝の会「行動綱領」』

相模原障害者施設殺傷事件から1年。得体の知れない「普通」から自分が脱落しないために、必死で「普通ではない」人を作り出して

星野智幸 選

『差別されてる自覚はあるか 横田弘と青い芝の会「行動綱領」』

荒井裕樹 / 著

現代書館 / 2,200円(税抜)

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相模原障害者施設殺傷事件から1年。得体の知れない「普通」から自分が脱落しないために、必死で「普通ではない」人を作り出しては差別し、切り捨て、殺そうとするこの社会にあって、その「普通」こそがおかしいと徹底糾弾した男、横田弘。その原理的な思考は、差別や排除を止めるうえで絶対に欠かせない。

アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。1988年、早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、 メキシコに留学。97年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、03年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、11年『俺俺』で大江健三郎賞、15年『夜は終わらない』で読売文学賞を受賞。『星野智幸コレクション』全4巻、『呪文』『未来の記憶は蘭のなかで作られる』 など著書多数。

ホンマタカシ

写真家

『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』

すごく解りやすいし、なにが重要か?がハッキリ書かれています。有名な作曲家の羅列ではなく、その時代の必然性が書かれているの

ホンマタカシ 選

『西洋音楽史 「クラシック」の黄昏』

岡田暁生 / 著

中央公論新社 / 780円(税抜)

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すごく解りやすいし、なにが重要か?がハッキリ書かれています。有名な作曲家の羅列ではなく、その時代の必然性が書かれているのです。音楽プロパーじゃない人にもお勧め。この本に構造的に似ているのは「たのしい写真」しか知りませんね、うふふ

2011年から2012年にかけて、個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。 著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)がある。2016年イギリスの出版社「MACK」より、カメラオブスキュラシリーズの作品集『THE NARCISSISTIC CITY』を刊行した。

前康輔

写真家

『アルケミスト 夢を旅した少年』

羊飼いの少年サンチャゴが宝物を探す旅の中で、人生にとって大切な事を学んでいく物語。 「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力

前康輔 選

『アルケミスト 夢を旅した少年』

パウロ・コエーリョ / 著

KADOKAWA / 522円(税抜)

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羊飼いの少年サンチャゴが宝物を探す旅の中で、人生にとって大切な事を学んでいく物語。 「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」 など、たくさんの言葉が今でも僕の中に強く残っています。きっと君もファティマに恋をするよ。

写真家 1979年広島市出身。高校時代から写真を撮り始める。ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。雑誌、広告などでポートレイトや旅の撮影などを中心に行うほか、個展も定期的に開催。第21回 キャノン写真新世紀佳作入選。2003年 清里ヤングポートフォリオ入選。2007年 富士フォトサロン新人賞を受賞。2015年 写真集「倶会一処」出版。他個展多数。

前田司郎

劇作家

『愛と死』

背表紙に物語りが全部書いてあるので読まないで、読むことをおすすめします。 これが愛なのか、わかりませんが、若々しい人間の

前田司郎 選

『愛と死』

武者小路実篤 / 著

新潮社 / 400円(税抜)

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背表紙に物語りが全部書いてあるので読まないで、読むことをおすすめします。 これが愛なのか、わかりませんが、若々しい人間の、跳ねるような感性と、情動、 それに抗えない現実が、この薄い本の中にあるように思えて、僕にとって大事な小説です。

1977年、東京都生まれ。 劇作家、演出家、俳優、小説家。劇団「五反田団」主宰。97年、劇団「五反田団」を旗揚げ。2004年、「家が遠い」で京都芸術センター舞台芸術賞受賞。05年、『愛でもない青春でもない旅立たない』で小説家デビュー。2007年、小説『グレート生活アドベンチャー』が芥川賞候補となる。2008年、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。2009年、小説『夏の水の半漁人』が三島由紀夫賞受賞。 近年はTV・映画のシナリオや演出も手がけ、2015年、「徒歩7分」が向田邦子賞受賞。 近著に『私たちは塩を減らそう』、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』、『濡れた太洋』他。著書多数。

町口覚

グラフィックデザイナー/パブリッシャー

『真夏の死  自選短編集』

卑怯へ堕ちた勇気、無気力へ堕ちた情熱……。 東南亜細亜になったかのような暑さが続く東京。 しかし、この小説を読めば、現在

町口覚 選

『真夏の死  自選短編集』

三島由紀夫 / 著

新潮社 / 590円(税抜)

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卑怯へ堕ちた勇気、無気力へ堕ちた情熱……。 東南亜細亜になったかのような暑さが続く東京。 しかし、この小説を読めば、現在(いま)の暑さなど感じない。 何故か? 是非、ご一読ください。

グラフィックデザイナー/パブリッシャー。1971年、東京都生まれ。デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。気鋭の写真家たちとの交流が深く、これまでに数多くの写真集をディレクションしている。また、映画・演劇・展覧会のグラフィックデザイン、書籍の装幀などを幅広く手掛け、常に表現者たちと徹底的に向き合い、独自の姿勢でものづくりに取り組んでいる。2005年、自社で写真集を出版・流通させることに挑戦するため、写真集レーベル「M」を立ち上げると同時に、写真集販売会社「bookshop M」を設立。

松家仁之

作家

『果報者ササル ある田舎医者の物語』

1967年刊の名著。イギリスで復刊され、日本語版が出てまもない今年の1月、ジョン・バージャーは90歳で亡くなりました。冒

松家仁之 選

『果報者ササル ある田舎医者の物語』

ジョン・バージャー/ジャン・モア / 著

みすず書房 / 3,200円(税抜)

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1967年刊の名著。イギリスで復刊され、日本語版が出てまもない今年の1月、ジョン・バージャーは90歳で亡くなりました。冒頭の5ページの文章は、生半可な短篇小説など尻尾をまいて逃げるしかないもの。田舎医者ササル氏の、その後の人生について知ったとき、粛然とするほかありませんでした。

作家、編集者。1958年東京生まれ。82年新潮社入社。「新潮クレスト・ブックス」シリーズ、「考える人」を創刊。「考える人」「芸術新潮」の編集長を務めたのち、2010年退社。13年『火山のふもとで』で読売文学賞を受賞。14年株式会社<つるとはな>を創立し、雑誌「つるとはな」を創刊。著書に『沈むフランシス』『優雅なのかどうか、わからない』などがある。

松田奈那子

画家・絵本作家

『つきよ スピカのおはなしえほん 』

たぬきと月の不思議な夜。遊ぶ月と見守るたぬきの絶妙な距離感がなんとも言えず可笑しい。静かに散りばめられたユーモアが、軽や

松田奈那子 選

『つきよ スピカのおはなしえほん 』

長新太 / 著

教育画劇 / 1,300円(税抜)

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たぬきと月の不思議な夜。遊ぶ月と見守るたぬきの絶妙な距離感がなんとも言えず可笑しい。静かに散りばめられたユーモアが、軽やかで、愉快で、平和なのです。驚いたときのタヌキの仕草が愛らしいのもポイント! ぜひ夏の夜にご家族で。読んだあと、どこかの森、それもその奥の奥にある水辺に思いを馳せて、涼んでみてください。

1985年北海道生まれ。画家・絵本作家。2012年第1回MOE絵本グランプリ受賞後、『ちょうちょ』(文/江國香織 白泉社)でデビュー。『くらべっこしましょ』(文/石津ちひろ 白泉社)『うたのすきなねこ ララとルル』(風濤社)『やさい ぺたぺた かくれんぼ』(アリス館)『みつけてくれる』(あかね書房)『こびん』(らいおんbooks/風濤社)『わたしは ねこ』(リトルモア)『おべんとうばこ あけたらね』(ほるぷ出版)など。こども絵画造形教室、ワークショップの開催している。

松本卓也

精神医学者

『発達障害の時代とラカン派精神分析』

若手を中心とした研究者による論集。自閉症をはじめとする発達障害を時代変化のなかで捉え、ラカン派の観点からその理解をアップ

松本卓也 選

『発達障害の時代とラカン派精神分析』

上尾真道 牧瀬英幹 / 著

晃洋書房 / 3,800円(税抜)

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若手を中心とした研究者による論集。自閉症をはじめとする発達障害を時代変化のなかで捉え、ラカン派の観点からその理解をアップデートする。「現代」に興味をお持ちの方は必読です。

1983年高知県生まれ。臨床に携わりながら、精神病理学とラカン派精神分析を中心に研究している。また、現代思想におけるラカン理論の位置づけの再考にも取り組んでいる。『思想』『現代思想』『ユリイカ』『atプラス』などにも多数寄稿。2015年4月、『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社)を刊行。

南沢奈央

女優

『ドミトリ-ともきんす』

この一冊があれば、この夏の本選びには困らないはず! 大人の知的&文学的好奇心をくすぐる…! まるで、偉大な科学者たちの”

南沢奈央 選

『ドミトリ-ともきんす』

高野文子 / 著

中央公論新社 / 1,200円(税抜)

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この一冊があれば、この夏の本選びには困らないはず! 大人の知的&文学的好奇心をくすぐる…! まるで、偉大な科学者たちの”自由研究”を見ているよう。ドミトリーともきんすを覗き見て、大人のワクワクを味わってみてはいかがでしょう。

1990年6月15日生まれ。埼玉県出身。2006年に女優デビュー。これまでの出演作は、映画・フジテレビ系連続ドラマ「赤い糸」(主演)、大河ドラマ「軍師官兵衛」、関西テレビ・フジテレビ系「素敵な選TAXI」など。

三宅陽一郎

人工知能研究者

『デミアン』

鳥は卵の殻と戦って、突き破って外に出なければならない。卵の殻は世界で、君は鳥だ。生まれ出でようとするものは、一つの世界を

三宅陽一郎 選

『デミアン』

ヘルマン・ヘッセ / 著

新潮社 / 460円(税抜)

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鳥は卵の殻と戦って、突き破って外に出なければならない。卵の殻は世界で、君は鳥だ。生まれ出でようとするものは、一つの世界を滅ぼして、新しい世界を迎えなければならない。」精神に闇を抱えて、新しい自分を模索している人に、おすすめしたい一冊です。主人公と共に、デミアンに導かれ、世界の闇と光の間をくぐり抜けた向こうに、自分の殻を打ち破る世界の光が見えるはず。

京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会設立(チェア)、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。

森泉岳土

漫画家

『時代の風音』

宮崎駿が書生となって堀田善衛・司馬遼太郎というふたりの知の巨人から教えを乞うという奇跡の一冊。知識とは多角的にものを見ら

森泉岳土 選

『時代の風音』

堀田善衛・司馬遼太郎・宮崎駿 / 著

朝日新聞出版 / 500円(税抜)

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宮崎駿が書生となって堀田善衛・司馬遼太郎というふたりの知の巨人から教えを乞うという奇跡の一冊。知識とは多角的にものを見られるようにするための道具なのだと教えてくれます。 堀田「奈良朝時代、奈良の町は国際化されていて、半分くらい外国人じゃないですか」――とかね。歴史、国家、思想、宗教、食物などトピックも縦横無尽。

絵の作家。1975年東京都出身。2010年、月刊「コミックビーム」「森のマリー」にて商業マンガ誌デビュー。

森田真生

数学者

『教育再定義への試み』

教育とは、生き方を伝える試みである。そして、生きることは、築くだけでなく、死に向かってくずれていくことだ。だから、間違え

森田真生 選

『教育再定義への試み』

鶴見俊輔 / 著

岩波書店 / 980円(税抜)

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教育とは、生き方を伝える試みである。そして、生きることは、築くだけでなく、死に向かってくずれていくことだ。だから、間違えることのできない教師に、人を教えることはできない。

1985年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒業。現在は京都に拠点をかまえ、独立研究者として活動。全国で「数学の演奏会」をはじめとするライブ活動を行っている。2015年10月、デビュー作『数学する身体』(新潮社)を刊行、第15回 小林秀雄賞を受賞。2016年2月には、編纂を担当した岡潔の選集『数学する人生』(新潮社)が刊行となった。ミシマ社では、数学にまつわる本を紹介しながら、数学を通して「生きること」を掘り下げるトークライブ「数学ブックトーク」を共催。2016年1月には、ライブで手売りすることを元に作られた『みんなのミシマガジン×森田真生 0号』(ミシマ社)が発刊された。

山口啓介

美術家

『近さと隔たり/存在する、美術』

著者は長らく東京国立近代美術館の要職にあって重要な展覧会を企画した後、愛知県美術館と茨城県近代美術館の館長を歴任し、一貫

山口啓介 選

『近さと隔たり/存在する、美術』

市川政憲 / 著

書肆山田 / 4,000円(税抜)

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著者は長らく東京国立近代美術館の要職にあって重要な展覧会を企画した後、愛知県美術館と茨城県近代美術館の館長を歴任し、一貫して近代・現代美術の展覧会をつくる現場にいた人。深い洞察力と理想の追求を体現させ得た、稀有なキュレーターによる最初の本。著者はこの本の校正に数年かけ、初出時の原稿はほぼ更新されたという。

美術家。1962年兵庫生まれ。武蔵野美術大学卒業。1992年Asian Cultural Council によりニューヨーク派遣。1992-93年文化庁在外研修により、フィラデルフィア、ペ ンシルバニア大学に滞在。 1995-97年大阪トリエンナーレ1994の関西ドイツ文化セン ター・デュッセルドルフ市特別賞、及びアトリエ・ヒューアベックの助成を受け デュッセルドルフに滞在。現在、東京と兵庫で制作、在住。主な個展に2015年「山口 啓介 原-ききとり」いわき市立美術館、「山口啓介 カナリア」豊田市美術館など。 主なグループ展として、2006年「大地の芸術祭:越後妻有アートトリエンナーレ 2006」十日町市、2013年「瀬戸内国際芸術祭2013」男木島、「あいちトリエンナーレ 2013」愛知県美術館など。

山崎ナオコーラ

作家

『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』

芝刈りや洗濯に行くお爺さんお婆さんは実は若かったのでは、と思いきや、子どもや若者の死が多かったから平均寿命が短かっただけ

山崎ナオコーラ 選

『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』

大塚 ひかり / 著

草思社 / 740円(税抜)

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芝刈りや洗濯に行くお爺さんお婆さんは実は若かったのでは、と思いきや、子どもや若者の死が多かったから平均寿命が短かっただけで、昔からちゃんと高齢者はいて、お爺さんお婆さんのイメージは今とあまり変わらなかったらしい。超高齢化社会の現代日本で、お爺さんお婆さんの物語を捉え直したい。

1978年、福岡県に生まれる。國学院大學文学部日本文学科卒業。2004年、会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」で第四十一回文藝賞を受賞し、作家活動を始める。著書に、『美しい距離』(島清恋愛文学賞受賞)のほか、エッセイ集がある。

山崎 亮

コミュニティーデザイナー

『世界の地方創生 辺境のスタートアップたち』

最近、海外におけるコミュニティデザインが気になっている。だからあれこれ理由を付けては海外へ行き、地域づくりについて学んで

山崎 亮 選

『世界の地方創生 辺境のスタートアップたち』

松永 安光、徳田 光弘、漆原 弘 ほか / 著

学芸出版社 / 2,000円(税抜)

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最近、海外におけるコミュニティデザインが気になっている。だからあれこれ理由を付けては海外へ行き、地域づくりについて学んでいる。その際、現地で専門家から説明を受けると学びが最大化される。本書を読んでいると、かの地に詳しい人から地域づくりの実情を聞きつつ旅しているような気分になる。説明者付き「辺境」の旅だ。なんとも贅沢な旅である。

studio-L代表。コミュニティデザイナー。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。 まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザインなどに関するプロジェクトに携わる。近著に『僕らの社会主義』 (ちくま新書・國分功一郎氏との共著)

山本貴光

文筆家・ゲーム作家

『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』

ソ連のSF小説の歴史を書いた本。というだけで既に面白いわけですが、構成と文体の妙はもちろんのこと、それらしき図版や写真も

山本貴光 選

『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』

ルスタム・カーツ / 著

共和国 / 2,600円(税抜)

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ソ連のSF小説の歴史を書いた本。というだけで既に面白いわけですが、構成と文体の妙はもちろんのこと、それらしき図版や写真も満載。虚虚実実(虚虚虚実くらいかな)を織り交ぜた世界に触れるうち、虚実の境界がぐらりと揺らぐ楽しさ(危うさ)を堪能できます。レムやボルヘスが好きな向きにも堪えられない逸品。

文筆家・ゲーム作家。1971年生まれ。コーエーにてゲーム制作(企画/プログラム)に従事の後、2004年からフリーランス。「哲学の劇場」主宰。

吉川浩満

文筆家

『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』

荒唐無稽なタイトルだが、ほんとにそんな本なんだから仕方がない。ファンタジーを読み進めるうちに、言葉とは、コミュニケーショ

吉川浩満 選

『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』

川添愛 花松あゆみ / 著

朝日出版社 / 1,700円(税抜)

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荒唐無稽なタイトルだが、ほんとにそんな本なんだから仕方がない。ファンタジーを読み進めるうちに、言葉とは、コミュニケーションとは、人工知能とはなにかについて、深く考えさせられる。仕上がりは奇跡的。大人も子供も夏休みに読むべし。

1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。「哲学の劇場」主宰。

ヨシタケシンスケ

作家

『世界不思議地図』

世界中の「ホントのところはわからない」不思議な物を紹介する本。好奇心をかき立てる数々の物件を、中立な(?)視点で解説し、

ヨシタケシンスケ 選

『世界不思議地図』

佐藤健寿 / 著

朝日新聞出版 / 3,400円(税抜)

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世界中の「ホントのところはわからない」不思議な物を紹介する本。好奇心をかき立てる数々の物件を、中立な(?)視点で解説し、これまた独特なイラストが、それぞれの不思議さを存分に引き立てています。「不思議な物」もさることながら、「それらを率先して不思議がる人」が、世の中には不可欠なのです。

1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース終了。 『りんごかもしれない』で第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞、『りゆうがあります』で第8回MOE絵本屋さん大賞第1位を受賞。『もうめげない』で第9回MOE絵本屋さん大賞第1位、ボローニャ・ラガテッツィ賞特別賞を受賞。『このあとどうしちゃおう』で第51回新風賞を受賞。その他、著者多数。2児の父。

寄藤文平

グラフィックデザイナー

『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 低体温症と事故の教訓 』

真夏の山の遭難。その背後にある、山と人のつきあい方の変化は、デザインと それを行う人の関係に通ずるものがある。自然の中で

寄藤文平 選

『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 低体温症と事故の教訓 』

羽根田治 飯田肇 金田正樹 / 著

山と渓谷社 / 950円(税抜)

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真夏の山の遭難。その背後にある、山と人のつきあい方の変化は、デザインと それを行う人の関係に通ずるものがある。自然の中では、『予定を守ることと、 安全を守ることは、相反する』ということを、リアルに教えてくれる。

グラフィックデザイナー。1973年生まれ。1998年ヨリフジデザイン事務所、2000年有限会社文平銀座設立。広告やプロジェクトのアートディレクションとブックデザインを中心に活動。 著書に『死にカタログ』(大和書房)、『元素生活』(化学同人)、『ラクガキ・マスター』(美術出版社)、共著に『ウンココロ』(実業之日本社)などがある。

渡邉格

パン屋タルマーリー

『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』

多様な価値観を認める知性が欠如していく中で、思考から消費行動まであらゆるものが同一化されていく。 このような時代に、「科

渡邉格 選

『99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』

竹内薫 / 著

光文社 / 700円(税抜)

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多様な価値観を認める知性が欠如していく中で、思考から消費行動まであらゆるものが同一化されていく。 このような時代に、「科学」というモノの考え方を相対的に再認識する必要があると思う。 すべての定説を疑い新たな時代を作っていこうとする人たちに、この本を勧めたい。

1971年東京都生まれ。フリーターだった23歳のときに学者の父とハンガリーに滞在。食と農に興味を持ち、25歳で千葉大学園芸学部入学。卒業後就職した農産物卸販売会社で妻・麻里子と出会う。31歳でパン職人になる決意をし修業を開始。2008年に独立し千葉県で「パン屋タルマーリー」を開業。2011年東日本大震災を機に岡山県真庭市勝山に移転。2015年、パン製造に加え、地ビール事業に取り組むべく、鳥取県八頭郡智頭町に移転した。

渡辺浩章 

鉄筆

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

「戦争となれば真っ先に犠牲となるはずの普通の人々が、なぜ、自己と国家を過度に重ね合わせ、戦争に熱狂してしまうのか」(文庫

渡辺浩章  選

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

加藤陽子 / 著

新潮社 / 750円(税抜)

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「戦争となれば真っ先に犠牲となるはずの普通の人々が、なぜ、自己と国家を過度に重ね合わせ、戦争に熱狂してしまうのか」(文庫版あとがき)。今と未来について考えるためのヒントがつまった講義録です。

「生きること」の意義を極限まで問い続ける作家・白石一文の傑作小説『翼』(鉄筆文庫)が再ブレーク中です。

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